ウルトラファインバブルとは
ウルトラファインバブルの定義
ウルトラファインバブル(UFB)とは、直径が1000分の1ミリメートル(0.001ミリメートル=1マイクロメートル)未満の超微細な気泡のことです。
通常の泡より小さい泡をファインバブルと呼び、ファインバブルには「マイクロバブル」と「ウルトラファインバブル」の2種類があります。両者は直径サイズで区別され、国際標準化機構(ISO)で定義されています。
- ファインバブル
- ・マイクロバブル(MB)
- 0.1mm未満、0.001mm以上
- ・ウルトラファインバブル(UFB)
- 0.001mm未満
直径0.1mmより小さい泡の総称
以前使われていた「ナノバブル」「マイクロナノバブル」という呼称は、ウルトラファインバブルに統合されました。
ウルトラファインバブルとマイクロバブルの違い
ウルトラファインバブルとマイクロバブルは、大きさで区別されていますが、特徴や特性にも違いがあります。
ウルトラファインバブル | マイクロバブル | |
---|---|---|
目視 | できない | 水中で白濁して見える |
浮上 | 浮力が小さく浮上しない | ゆっくり浮上する |
消滅 | 刺激を与えなければ数週間~数か月消滅しない | 収縮して消滅 |
共通 | 界面活性作用 気泡の表面はマイナスに帯電していて、プラスに帯電した物質や汚れ(古い角質、メイク残り、ダニの死骸、臭いなど)を吸着する。油性のものが表面に集まるのも特徴。 |
美容面ではウルトラファインバブルが注目されていますが、上記以外にも特性の違いはあり、様々な分野で特徴を活かした使い方が進んでいます。
ウルトラファインバブルの効果
ウルトラファインバブルは美容分野をはじめ、健康や環境分野にも様々な効果が期待されています。
- 洗浄&美容効果
- 汚れや油分を吸着する作用と、泡が破裂する際に発生する衝撃波で、水だけで洗浄することができます。また、洗剤の界面活性剤を表面に覆う性質もあり、肌の汚れや残留界面活性剤を効率的に除去。毛穴にさえも入り込める超微細な泡は美容分野でも期待されています。
- 生理活性
- ウルトラファインバブルは皮膚から浸透しやすく、血流の改善や体温の上昇が報告されています。植物では根から浸透し、成長促進や収穫量増加が報告されています。また、細胞の活性化や免疫力の向上に向けた研究や実験も進んでいます。
- 気液混相体
- ウルトラファインバブルは水と気体という相反する特性を同時に持った気液混相体と呼ばれる状態です。これにより、水の密度や粘度、表面張力などが変化し、様々な機能水にもなります。例えば、オゾン水は消毒・除菌・脱臭・漂白などの効果があります。
環境分野では、ウルトラファインバブルは液体中の微生物や汚れを効果的に分解、浄化する効果があるとされ、水質浄化や汚染物質の分解に効果的であることが報告されています。
効果検証と製品化
ウルトラファインバブルの効果に関する研究は、日本をはじめとする世界中で行われていますが、まだ新しい技術であり、メカニズムや効果は十分に解明されていません。
しかし、多くの企業や研究機関がウルトラファインバブルの研究を続けており、効果の検証や製品化が進んでいます。
- 株式会社リンナイ
「ウルトラファインバブル給湯器」
水道水中にウルトラファインバブルを発生させ、水回りの汚れや水垢の付着を防ぎ、掃除の負担を減らす効果があります。普通の水よりも排水管の汚れが流れやすいそうです。
参照:rinnai.jp - 株式会社シバタ
シバタエンジン(ウルトラファインバブル発生装置)を開発。除菌・消毒・脱臭・漂白などの効果を有し、農業・洗浄・水産業・環境の分野に活かされています。東芝の洗濯機ZABOONシリーズに使われているのもこの技術です。
他にも、株式会社丸山製作所、株式会社 関東甲信クボタ、大手食品メーカーでも採用されています。
参照:shibata-corp.co.jp - 株式会社サイエンス
美容系シャワーヘッドで有名な「ミラブル」を開発。ファインバブル専業メーカーとして、美容にこだわらず、農業・飲食業・介護福祉・医療・清掃業など様々な分野で共同開発・共同研究を行っています。
参照:i-feel-science.com - NEXCO西日本
サービスエリアおよびパーキングエリアのトイレ清掃に利用。従来の清掃方法より清掃時間、作業負担、床の乾燥時間を低減し、洗浄水の使用量を従来の100分の1まで減少させることに成功しました。また、ウルトラファインバブル関連事業も展開しています。
参照:corp.w-nexco.co.jp
慶応義塾大学 化学工学研究室では、ビール用大麦の発芽促進や微粒子の洗浄での効果を検証(applc.keio.ac.jp)、福岡大学医学部の研究チームは、将来的に遺伝子治療への応用が考えられる革新的な技術の開発に成功(Frontiers in Pharmacology)。他にも、名高い大学が分野を問わず、ウルトラファインバブルやマイクロバブルの効果・実験結果を発表しています。
ウルトラファインバブルの研究や製品化を進めている企業や教育機関は枚挙にいとまがありません。それくらい様々な分野で応用されており、その可能性は無限大といえます。
ウルトラファインバブルの危険性は?
シャワーヘッドや洗濯機など身近な日用品でも使われるようになったウルトラファインバブル。高い洗浄力や保湿効果、温浴効果など認知度が上がっていますが、一方で心配なのは危険性です。
ウルトラファインバブルの科学的な試験では危険性は見られていません。一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)は、空気ファインバブル水の安全性試験を実施し、マウスに経口投与しても毒性が認められなかったと報告しています。オゾンや水素を使ったファインバブルの試験では、培養細胞に悪影響がないことも報告しています。
参考:fbia.or.jp
また、市販されている製品は、食品衛生法や消費者安全法などの法律に基づいて製造・販売されており、逸脱した使用方法ではない限りで安全に利用できます。
ただし、ウルトラファインバブルが目視できないことを逆手にとって、実際は生成できないにも関わらず、ウルトラファインバブル生成商品として販売しているケースが想定されます。そのような粗悪品、詐欺商品を選んでしまわない方法の一つとして、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)に登録している企業を調べてみるのもいいでしょう。
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